企画のつくり方

新製品開発の最初に、「コト・モノ・オモイ」がしっかり備わった企画アイデアを、次の5つのステップでつくりましょう。

1.ぼんやりテーマの探索

「ぼんやりテーマ」とは、新製品開発にあたってまずぼんやりと注目する、開発テーマとはまだ言い切れないぼんやりとしたテーマのことです。例えば「アウトドア用品をやってみよう」とか「こういうことで困っている人を何とかしよう」というように、製品ジャンルや問題意識でもいいですし、「作ったけどイマイチだったこれをちゃんとやり直そう」のように今までに作ったモノに注目し直してもいいでしょう。

この段階ではあまり悩まず仮でもよいのでテーマを決めてしまい、まずは下のステップ2「コト×モノのアイデアづくり」や、ステップ3「知識の獲得・蓄積」に入ってみてから本格的に考える、というくらいで全く構いません。

ゴール

新製品開発に当たって、やりたいことや解決したいこと、使いたい材料・技術など、最初に注目する対象を決める。

関連メソッド

1-1:未完の案件に再チャレンジする
1-2:ユニークな素材・技術・材料を生かしたモノ・用途を考える
1-3:自社のB TO B製品を生かしたモノを考える
1-4:素材やキットなどユーザー自身が作り上げるモノを考える
1-5:あらゆるモノを批判的に見てみる
1-6:ライバル商品や他社の取り組みから考える
1-7:自分がやってみたいコト、欲しいモノから考える
1-8:解決すべき問題、満たすべきニーズから考える
1-9:社会的課題・ニーズから考える
1-10:近未来の予測から考える


2.コト・モノのアイデアづくり

設定したぼんやりテーマに対して、どんなモノなら、どんな人がどう使ってくれてどう喜んでくれるかという、企画アイデアを創造します。この「どんな人がどう使ってくれてどう喜ぶか」の部分が、上で述べた「コト」に当たります。つい「モノ」だけを考えてしまいがちですが、下のステップ3~5も含めた企画アイデアづくり~ブラッシュアップをグルグルと繰り返して「コト」と「モノ」を行き来するように企画アイデアを考え、最終的には「自分がハマる」「お客さんがトキメく」「自社が作る・売る」ことができる企画アイデアへ磨き上げていきましょう。

ゴール①

こう使えたらいい、こんなことができたらいい、こう役に立ったらいいといった「コト」を見つける。

関連メソッド

2-1:ターゲットとするユーザーやシーンを絞り込む
2-2:使い手にとっての理想的な状態=あるべき未来を考える
2-3:「自分ならこう使いたい、こうできたら嬉しい」を考える
2-4:参考例やメタファを探す
2-5:問題の解決策を創造する
2-6:「こう役に立つこんなモノ」の仮説をつくる

ゴール②

自分自身が納得できるレベルに、コト・モノのアイデアをブラッシュアップする。

関連メソッド

2-7:目の前にあるモノのアイデアを生かす道を考える
2-8:モノの使用シーン・用途を広げる
2-9:モノに何かを掛け合わせて新たな用途・価値をつくる
2-10:常識・当たり前・固定観念の枠の外側を考える


3.知識の獲得・蓄積

設定したぼんやりテーマや、現時点で考えているコト・モノのアイデアに関連することを調べて、開発チームの知識を増やします。例えば、先行商品としてどのようなモノが出ているか、ユーザーは現状ではどのような使い方をしていて、どんな不満を感じているか、テーマやモノ・コトに使えそうな技術として、チェックしておくべき知財としてどのようなものがあるか、こういったことを調べて理解しておくことで、企画アイデアの質がぐっと上がります。

逆に言えば、そのテーマやモノ・ユーザーについて深く理解しないままコトやモノのアイデアを考え続けても、誰でも考えつく当たり前の思いつきしか出せず、どれだけやっても「これだ!」という企画アイデアにはならないはずです。遠回りのように思えるかもしれませんが、売れるモノを作りたければ、いろいろ調べて知識を増やすことが不可欠だと肝に銘じておきましょう。

ゴール

開発するモノやユーザーについて…

①先行商品、知財、使用状況など当然知っておくべきことを知る。

②先行商品が満たしていない重要なニーズを見つける。

関連メソッド

3-1:ライバル商品や他社の取り組みなどを調べる
3-2:解決すべき問題、満たすべきニーズを発見・特定する
3-3:モノの使われ方を調べる
3-4:利用可能な技術・知財などを調べる
3-5:近未来を予測する


4.アイデアの見える化・さわれる化と検証

思いついたアイデアをすぐ商品にしようと、ユーザーに見せたり使ってもらったりしないまま、自分たちだけで作り込んでいってはいけません。まずは思いついたアイデアをスケッチやモデルなどササッと形にし、開発チーム内で徹底的に眺めたり使ってみたり、家族や近しい仲間に使ってもらったりしながら、そのアイデアでイケるかどうかをしっかり見極めます。この際、最初から高い材料と多くの人手を使って製品に近い立派な試作をすると、ユーザーの評価が散々でも大きな方針転換ができなくなり、大失敗しかねません。最初はダンボールや紙など手近な材料で形にしてみて「こんなアイデアって、そもそもアリかな?」というくらいの確認からしてみましょう。

ゴール①

モデルやスケッチなどで形にして、散々眺めたり試したりしてみた上で、これで行けるか、何が足りないかを判断する。

関連メソッド

4-1:ササッと試作する
4-2:自分たちで評価する
4-3:ユーザーに見てもらう
4-4:機能・性能・価値を見える化する

ゴール②

このアイデアでまずは一つ作ってみようと決める。

関連メソッド

4-5:アイデアの完成度を判断する
4-6:アイデアをまとめる


5.オモイの発見・確信

実はここが、企画づくりではモーレツに大事なところです。
コト・モノのアイデアを考えたり、いろいろ調べたり考えたり作って試したりしていくうちに、きっと「どうもこれが大事なことなんじゃないか?」とか「ウチがやるからには、ここにはこだわらなきゃダメだ!」、「こんなコト・モノが求められているはずだ!」、「こういう楽しさ・便利さを世の中に発信したい!」といった大事なこと、言いかえれば自分たちなりのこだわり・信念といったものが見えてくるはずです。このあたりをまとめて「オモイ」と呼ぶことにしましょう。

新製品開発は、自分たちの「オモイ」をモノに換えて、それを誰かまだ見ぬ相手に伝え、共感させることとも言えます。その意味では、この「オモイ」が作り手自身に見えていないのなら、その企画アイデアは誰かを共感させられるレベルにはまだ達していないということです。「オレたちがやりたいのはこれだ!」「これをみんなに伝えたい!」という強いオモイが見つかるまで、企画アイデアづくり~ブラッシュアップを続けましょう。

ゴール

この企画アイデアのキモはここだ、ここにはこだわった、ここをきっと喜んでくれるはずだ!ここを推したい!と言えるメッセージをつくる。

関連メソッド

5-1:開発のそもそもの目的や動機、与件を明確化する
5-2:自分たちならではのこだわり・信念を見つける
5-3:開発チームのスローガンをつくる
5-4:キラーバリューをつくる


EX.製品開発~商品化へ

作り手自身がハマれて、ターゲット客がトキメき、自社で作れて売れるモノのアイデアができた!と確信できたら、本格的な製品開発に入っていきます。といっても、試作と検証を繰り返して、使い手にとって良いモノを作り込んでいくのは、企画アイデアづくり~ブラッシュアップでやってきたこととそんなに変わりません。違うのは、いよいよ魅力的で強い商品にしていくために、いろいろとやっておくべきことを意識し始めたり、実際に取りかかったりしていくことです。例えば商品のネーミングやマークをどうするか、最初のデビューの場をどうするか、誰にどう売ってもらうか、パンフレットやプレスリリースをどうするか。知財など容易にマネされないための工夫も必要です。

ゴール

魅力的で強い商品にまとめ、テスト販売などで事業としての可能性を確認する。

関連メソッド

6-1:製品に近いモノを作り込む
6-2:商品化に向けた準備をする
6-3:反応を探る・ちょっと売ってみる